その山頂の宿には、欧米系の老夫婦と、カナダ人が泊まっていた。
僕は、歳が近いこともありカナダ人と仲良くなった。
朝からカナダ人は出かけるらしいので、僕はこの日、一人。
ロンジーはこんな感じ。外に出ると、山頂だけあって、霧か雲かわからんけど、辺りが真っ白になっていた。
雲の海に僕らの宿がプカプカ浮いてるみたいだった。
もちろん地図はない。 とにかく出かけてみる事にした。
人が一人やっと通れるぐらいの道(ほとんど迷路)を、どんどん進んでいった。
途中、放し飼いのブタ、牛、犬、鶏。こいつらが僕を邪魔してくる。
犬が苦手なので、道で対面したら、スグに目をそらし、じっとして通り過ぎるのを待ったりする。
そんなこんなで腹が減った。
それらしい所があったので、覗いてみると、 壁が無く、テーブルが1つ(しかもちゃぶ台)、 そして、あきらかにそこの息子と思われる赤ちゃんが、すでにうどんみたいな物を食べていた。
OK?と聞くと、OK!と言う。
とりあえずちゃぶ台に正座して待つと、(勝手に!)赤ちゃんと同じものが出てきた。
小さなちゃぶ台で、赤ちゃんと僕が対面しながら食事が始まった。
その子は、赤ちゃん流のキッタナイ食べ方を披露してくれて、吐き気をプレゼントしてくれた。
何とか食べきり(味は良い)、地元の小学校に迷い込んだりしながらも、日が暮れてきた。
ここで僕は真っ青になった。
帰り道が解らなくなった!!
大都会で迷うならまだしも、こんな山奥で迷うと、 さすがにオシッコもチビリそうになる。
とにかく僕は、早歩きで戻ってみた。
街灯はないし、交番なんかあるわけない。目印のなるのは、ポツポツ光る、民家の明かりだけ。
途中、店で酒を買って、酔ってみたりもした。
宿の名前すら覚えてなかったので、聞きようもない。
店の主人と、いっしょに飲んでみた。
完全に山です。するとどうだろう! 辺りが明るくなってるではないですか!!
気づいたら結局、朝までのんでいた。
言葉は通じないが、とにかく笑っとけ!が役にたったのである。
さすがに、明るくなると、見晴らしが良くなっていた。
帰るべき宿は、すぐ30m先ぐらいに見えた。
ベタなコントを、中国の山奥で実践した僕に拍手を下さい。
>> つづきを読む
▲ページトップへ